肉熟成の衛生管理はちゃんと出来てますか?

肉のうま味を最大限に引き出した 熟成肉 は究極の食材といっても過言ではありません。

時間が食材を美味しくしてくれることを人間は経験で知っており、昔から多くの食材の加工方法として取り入れてきました。

味噌や醤油、漬物などの発酵食品も微生物の力を借りて時間の経過によるうま味を生成しています。しかし、熟成と腐敗は紙一重です。

それを踏まえたうえで、上手に肉を熟成させる方法を考えてみましょう。


肉熟成の衛生管理はちゃんと出来てますか?

肉の熟成とは

熟成を意味するエイジング(aging、ageing)には「歳を取らせる(老けさせる)」「古びさせる」といった意味もあります。

時代や年齢をあらわす「age」を語源としていると考えればわかりやすいかもしれません。つまり熟成とは時間をかけて変質させることです。

肉のたんぱく質は時間の経過とともに酵素の働きでうま味の素であるアミノ酸へと変質します。

そもそも熟成も腐敗も現象としては同じことで、時間経過による食品の変質のうち、人間にとって都合のよいものを熟成と呼び(微生物が関与すると発酵と呼びます)、有害な変化を腐敗と言っているにすぎません。

そして熟成も進み過ぎるとやがて腐敗につながります。

肉を熟成させるためには、たんぱく質がうま味に変わった丁度良いタイミングを見極めなくてはならないのです。


肉を熟成させる方法

肉を熟成させるにはドライエイジングとウェットエイジング、二通りの方法があります。ドライエイジングは1~3℃(理想的には1℃)

に保った室温と60~80%の湿度、循環する風を使い、空気中の微生物の助けを借りて腐敗菌の付着を防ぎつつ時間をかけて肉を熟成させます。

空気が乾燥しているヨーロッパでは最もポピュラーな食品保存方法の一つです。

一方ウェットエイジングでは0~2℃の温度で肉の乾燥を防ぎながら空気を遮断して熟成させます。


熟成肉を作るときの衛生管理

調理器具や作業場所を清潔に保つことはもとより、作業場所に立ち入る人も衛生には気を配ってください。

目には見えませんが人間にはさまざまな菌が付着しています。

味噌やぬか漬けなどは個人に特有の菌の作用を利用して家庭独特の味を作ったりもしますが、肉の熟成には余計な菌は必要ありません。

むしろ有害で腐敗のもとになりますから必ずきれいに手を洗い、清潔な手袋を着用してください。あれば白衣や割烹着、帽子や三角巾も使用するといいですね。

最低でも清潔な衣類を身につけてください。

作業中はできるだけ低い温度を保つようにしてください。

空気に触れる時間が長いほど酸化が進むので作業は手早く行いましょう。

ドライエイジングは熟成期間が2~6か月と長く、厳しい環境管理が必要なので専用の熟成室がないと難しいです。

ウェットエイジングには家庭の冷蔵庫のチルド室が利用できますが頻繁に開閉すると室温が上がってしまうので熟成期間中はできるだけ開けないようにしましょう。


肉の熟成に不可欠な環境管理

温度

肉を保存する場合は5℃以下の冷蔵庫を使用しますが、腐敗にならないようにゆっくりと酵素が働いてたんぱく質を分解するためにはもっと低い温度が必要です。

1℃前後の室温を常に維持できる環境を整えてください。

湿度

ドライエイジングでは乾燥した空気(風)にさらして熟成させますが、腐敗の原因になる有害な菌も存在します。

腐敗菌の付着を防ぐある種のカビ菌の活動が活発になり、かつ酵素がゆっくりと働くのに適した温度や湿度を保つことが欠かせません。

湿度の高い日本ではドライエイジングに必要な乾燥した空気を常に循環させるには専用の装置や高度な技術が必要です。

空気の遮断

ドライエイジングには腐敗菌を防ぐためにカビの力を利用するため、乾燥した空気が常に循環している環境が必要ですが、湿度の高いウェットエイジングでは空気中の微生物は腐敗の原因になるので真空に近い状態を保つことが重要です。

脱気装置があれば理想的ですが、密封できる厚手のポリ袋に肉を入れ、冷水に浸ける方法でもかまいません。

水の遮断

ドライエイジングでもウェットエイジングでも水はカビのもとです。

熟成させる前に清潔なタオルやキッチンペーパーできれいに肉の水気を拭き取りましょう。


おわりに

食品を腐敗させずに熟成させるには厳重な衛生管理が必要です。

特に肉や魚といった気温や湿度の変化に敏感でカビや細菌が付着しやすい食材を熟成させるにあたっては十分注意しなくてはなりません。

うかつな扱いをすれば、時には命の危険につながりかねないということを忘れてはなりません。

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