昭和のアウトドア事情がすごい!⑤

『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』作者「ママチャリ」の不定期コラム第五段

三菱自動車発行1979年の小雑誌『アウトドアブック』からの第5弾。

順不同となりましたが、冒頭の『アウトドァライフをはじめてみよう』(原文まま)から、ご紹介しましょう。


アウトドァ研究会

繰り返しになりますが、この本は文化放送が監修にあたり、章によって別々な方が執筆されており、こちらの担当は「アウトドァ研究会」という、NPO法人ともなんともつかない「名乗ったもん勝ち」な感じの団体さん。

けれども、書かれていることは、けっこうな名文で、ひょっとすると、かのモンベルの創業者とかもいたのではないか?とまで思わせます。

それほど、アウトドアに着目している人が少ない時代でした。

失敬。「アウトドア」ではなく、「アウトドァ」です。

確かに名文なのですが、考え方は平成とは大きく異なります。


アウトドァライフの定義

“街で本当の空気が吸えるなどと思ってはいけない”

冒頭からカッコよく始まる昭和的『アウトドァ・ライフ』の定義。

“野に海に出かけて、大自然の下で大らかに呼吸し、遊ぶ”こと。

なるほど、それは平成でも変わっていない気もします。

引き続き、

“昔流に言えば『野外生活』”

昔流と言うよりも、そのまんま「和訳」です。これだけでも、アウトドァという言葉に、いかに馴染みがなかったかが分かりますね。

ここで言う「昔」は、1979年時点ですから、1960年代を指すものと思われますが、では、昔流の「野外生活」とは、どういうものだったのでしょう?


映画に見るアウトドアの変遷

ご存知かどうか分かりませんが、宍戸ジョーや、小林旭の『渡り鳥シリーズ』など一連の日活映画を見ると、この「野外生活」がよく分かります。『渡り鳥』なんていうのが、いかにも「宿無し」ですから。

現代なら、単純に「住所不定無職」のことですが、当時は便利な言葉があったんですね。『渡り鳥』

そこから垣間見える1960年代の「野外生活」は、必需品として、馬・テンガロンハット・ギター・ライフル銃二丁拳銃‥。現代の「住所不定無職」とは似て非なることが分かります。

これが60年代も中盤に入ると、同じ映画でも、加山雄三の『若大将シリーズ』に描かれるような、現代により近いものになります。少なくとも、武器を持たなくても、普通に「野外生活」ができるようになりました。

『若大将シリーズ』では、海、山、とアウトドアを満喫しますが、田中邦衛の演じる青大将などは、オープンカーを乗り回し、現代よりもはるかにレジャーを楽しんでいるようにさえ見えます。


野外生活の進化

アウトドァ研究会は、そうした60年代までの昔流「野外生活」と、これからの「アウトドァ・ライフ」は違うと明言しています。

キャンプなどの「野外生活」の他、

“たとえば夏の夜、ふいと草原に星屑をひろいに行ったり、夜霧にけむる波止場に足を向けたりすることも含まれる”

なるほど!

現代よりも定義は広かったんですね!

ただし、「夜霧にけむる波止場」については、『渡り鳥シリーズ』でもさんざん描かれていますから、二丁拳銃などの武装が必要なものと思われます。

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